家族で貝汁を食べているときも、私一人豆腐の味噌汁をすすっていたくらいです。もちろん現在は「あさり」を食べますが、好きな食べ物の中には入っていません。
ただ私としては苦手故、冷静な態度で「あさり」と向き合えているような気がしております。食べることは苦手でも「あさり」という生命には非常に興味があり、
「あさり」を知るための勉強が楽しくて仕方がありません。
家業があさりを取り扱っていたのですが、あさりが苦手な私は早々に両親に家業は継がないと宣言していました。
大学入試を受け合格通知を受け取ったその日に、合格通知を握ったまま勝手に念願のファッション関係の専門学校への入学手続きを済ませ、
家に帰って母親にそのことを伝えたときの母親の涙は未だに忘れられません。専門学校を卒業後、東京のアパレルメーカーに就職しましたが約3年後に突然フランスへの
出向を命ぜられました。会社がフランスの某ブランドを買い取り、日本人スタッフを送り込むことになり私に白羽の矢が立ったようでした。
それから約2年半ほどフランスに移り住みフランス人スタッフと共に業務をこなしていました。パリコレクションというファッションショーも幾度か開催するという経験をし、
本場の服飾業界というものを身近に体験出来たことは非常に大きな勉強になりました。日本に戻ってからはあるブランドを任され、製糸から生地、洋服の組み立て製造、
デザイン、マーチャンダイジングなど多岐に渡る業務に関わっていました。ただあまりの激務のためか十二指腸潰瘍を5回ほど患ってしまい、
精神的にもかなり草臥れていたようでした。
そのような状態の時に父から東京に営業所を作りたいと相談を受けたのです。体調を崩していたせいもあってか、その頃の私は大きな企業に身を置いて仕事をするよりは、
小さくてもいいから楽しく、失敗やトラブルを祝えるような組織で働きたいと願うようになっていました。
図書館や水産研究所に通い、製造の現場からの視点ではなく科学的な視点から「あさり」を知るために。しかし営業が上手く行き過ぎ、
工場の生産能力を超えそうなまでに売り上げが上がってしまい、急遽、製造現場の手伝いに実家の会社に戻り、現場の作業を手伝いながら同業他社や全国のあさり産地を視察し、
時にその場その場で作業を手伝いながら「あさり」に関する様々な知識を蓄えていきました。
そんな、体験から強く感じたのは、あまりに原料となる「あさり」の取り扱い方が杜撰であるということでした。「あさり」を生業にしながら「あさり」のぞんざいな扱いに強い違和感を覚えたのです。
一時期ファッション業界に身を置いていた私から見ると素材に対する知識が乏しいためか、生産効率を優先しているのか、いずれにしろ「あさり」を中心に製造過程を組み立てているのではなく、
作業する人を中心に組み立てていたのです。ファッション業界において素材の重要性を嫌というほど身に染みていた私は価格と生産量からの製造ではなく、
「あさり」という素材を大切に販売していきたいと強く願い、現在の地伊勢に新たに会社を構えたのです。
新たに会社を起こした理由がもう一つあります。
それは「あさり」という資源の危機的な減少に挑戦したいと
いうことです。天然の稚貝が期待できない状況から、
陸上においての稚貝生産及び垂下式養殖による成貝までの
育成がそれです。「あさり」の品質を高めた
「あんしんあさり」「氷温熟成あさり」
「子持ちアサリ」親貝から完全なトレースが可能な
養殖アサリ「恵海」などの商品の展開に力を
注いでいきたいと考えています。
【代表】 | 肥田 高嘉 |
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【本社所在地】 | 〒515-0507 三重県伊勢市村松町 3564-3 |
【設立】 | 平成16年10月1日 |
【営業開始】 | 平成17年 2月1日 |
【決算期】 | 12月 |
【資本金】 | 1千万円 |
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【 従 業 員 】 | 13名 (平成27年3月1日現在) |
【主たる事業】 | ①活アサリの加工卸 ②国産アサリの垂下養殖 |
【主な事業】 | 海老の陸上養殖 |
■六花社 本社加工場 |
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【 加工場敷地 】 660坪 |
【 備蓄プールの規模 】 4面(3.35m×7.20m×0.8m) 2面(3.35m×7.20m×0.6m) |
・地下海水を使用し、紫外線殺菌装置に より工場内での使用海水を滅菌 |
・瞬時に1℃にする大型瞬間冷却装置に より冷却海水を使用 |
・日産5tの活アサリ商品を製造可能 |
■二枚貝養殖研究所 |
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長崎県西海市西波町伊ノ浦郷 【 敷地約 】900坪 二枚貝の種苗生産 |